(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
お産の話−5 「産出期 〜破水〜」

コラム一覧に戻る

2007年10月31日

 陣痛の間隔が短くなり、外から見てもわかるくらい母牛のお腹に力が入り、いきみ始めると、いよいよ「産出期」の始まりです。いきみ始めから、仔牛が完全に外界に出てくるまでにかかる時間は、だいたい1、2時間(初産の場合は2、3時間)です。産出期の流れは、経過時間とタイミングが大事です。まず、努責(いきむこと)が始まってしばらくすると破水が二回あります。この二つは飛び出す液体の色が全然ちがうので、それで見分けてください。
 まず、尿膜という袋がやぶけて、中から透き通ったオレンジ色のおしっこみたいな液体(=尿膜水)が出てきます(イラスト3)。これが「第一破水」です。ただし、これは母牛の体の中で破裂して、中の液体だけがジャーッと出てくることが多いみたいです。やぶれた尿膜の残がいがぶらさがっている状態(イラスト4)で、またしばらく怒責が続きます。
 すると、今度は外陰部から真っ白な袋が出てきてます。これが圧迫によって破れ、とろみの強い透明の液体(=羊水)が流れ出します(イラスト6)。これが「第二破水」となります。真っ白な袋は羊膜といって、この中に仔牛が入っています。

kirino_20071031

|