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桐野有美のコラム
「お産の話−4 「開口期 〜陣痛〜」」

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2007年10月24日

 ホルモンの作用で、子宮がギューッギューッと規則的に収縮するのが陣痛です。初めはごく弱い陣痛が40分間隔くらいで繰り返されます。ちなみにちょうどこの頃、「お産の話−1」の画像でお見せしたような兆候が見えます(未経産牛だとわりとわかりやすいのですが、経産牛だと違いがよくわからないこともあります)。この陣痛を繰り返すことで、胎仔が少しずつ産道に向かって移動します。すると、胎仔によって産道が圧迫され始めます。この圧迫の刺激で、オキシトシンという、さらに強力な陣痛を起こすホルモンが母牛の脳から分泌されます。そうなると、陣痛の間隔は10分間隔3分間隔、としだいに短くなり、一回ごとの陣痛の強さも増します。母牛が分娩房の中をぐるぐると歩き回ったり、餌を食べるのをやめたりする様子には見覚えがあると思いますが、それがこの時期です。
 母牛の陣痛で着々とお産の準備が進むこの時、胎仔は何をしているのでしょうか。子宮の収縮にまかせて押し出されるのをのんびり待っているわけではありません。胎仔は図で示すように、ここで体の向きを「産道に合う姿勢」に変えていきます。
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