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桐野有美のコラム
「お産の話−2 「正常なお産」」

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2007年10月10日

 異常に気づくためには、まず正常な分娩経過をよく理解するのが一番大事です。お産の一部始終を、時間を追いながらいっしょに見ていきましょう。
 さあ、もうすぐあなたの牛がお産の日を迎えようとしています。御存知の通り、和牛の妊娠期間は平均285日間。分娩予定日の算出方法として、「授精日から3ヶ月ひいてそれに10日をたす」という簡易計算式が用いられてきました。最近は、多くの方が繁殖台帳をコンピュータ管理されていると思いますが、現場でパッと計算するのに覚えておくといいですね。
 ちなみに統計的には、牛の分娩の時間帯には偏りはない、とされています。また、潮の満ち干と関係がある(干潮から満潮に向かうときに産まれる)という説もあります。いずれにしても大事なことは、十分な備えをした上で、興味を持って楽しみに待つ、ということではないでしょうか?「十分な備え」については、後半にまとめて書こうと思います。
 お産の始まる兆候としては、乳房の張りと外陰部(すそ)の変化を見ている方が多いですが、これは牛によって本当に様々です。いざ仔牛が出てくる直前になって急に変化を見せる牛もいれば、お産の何日も前から、という牛もいます。実際は、骨盤靭帯のゆるみが比較的確実な前兆と言われています(写真をご覧ください)。このサインが出てから12時間以内に分娩、と考えていいようです。
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