(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
「お産の話−1 「受け身のイベントを積極的に迎えるために」」

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2007年10月3日

 繁殖農家さんにとって、牛のお産というのは避けて通れないイベントです。しかも分娩予定日付近ということはわかっていても、何日の何時に始まるということが予告されない、ある意味「受け身」の現象であり、それなのに、ともすればそれまでの10ヶ月間(妊娠期間)がその一日でムダになることもありうる、経済的にも精神的にも意外と負担の大きいイベントではないでしょうか?
 頭数が一桁程度の小規模繁殖農家さんは、何百頭規模の農家さんに比べて、一年に経験するお産の回数が絶対的に少ないために、「えーっと・・・これはどうやるんだったっけ?」と、毎回のように戸惑ってしまうケースもありますし、逆に今どんどん規模拡大している農家さんでは、分娩時の事故による母牛や仔牛の損耗は大きな経営リスクになることはもちろん、かと言って、少頭飼いの農家さんみたいに分娩予定日付近に何日も寝ないで牛舎にはりこむなんていうこともできません。
 そういった観点から、まず「お産のときって母牛の中で何が起こってるの?」「そのときお腹の中の赤ちゃん牛はどうなってるの?」「難産って何?」「異常かどうか、どうやったらわかるの?」という基本的なことから、お産にまつわる事故を防ぐための技術・アイディアまでを一緒に勉強していきたいと思います。
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