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桐野有美のコラム
「肝臓の話−14 「気になるあいつ」」

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2007年9月19日

 全体的な対策について前回お話しましたが、今回は特に気になる牛に実施する特別メニューについて2、3書いてみます。
 特に気になる牛とは、例えばすでに肝炎・代謝性腸炎と診断された前歴のある牛、重い肺炎を経験している牛、梅雨どきに軟便が長引いた牛、予定より早く枯れ始めている牛、そして出荷前の牛などです。こういう牛は、同時に熱中症予備軍でもあります。
 さて、ここに挙げたような「気になる牛」は、ただでさえあちこちの細胞が炎症を起こしたり変性したりしやすい状態(サビやすい状態)になっています。もちろん肝細胞も然り、です。ですから、初夏の時点で、ビタミンEやその他の抗酸化物質を投与・添加したいものです。ビタミンEについては注射で投与するのが一番確実ですが、気になる牛が多くて大変だ、もしくは、出荷直前なのでなるべく筋肉注射をしたくない、なんていうときには、モラフィット(ゼノアック)を給与してもらっています。他の抗酸化物質としては、ビタミンAやβカロチン、アスタキサンチン、チオクト酸などがありますが、添加剤で添加してもいいですし、ヘイキューブで補ってやってもいいと思います。
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