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暑熱ストレスなどが本格的に牛を襲うよりちょっと前の時期、つまりちょうど梅雨どきの湿気・カビによる悪影響をなんとか乗り越えているころに、前回お話した鋸屑肝のストーリーはすでに始まっているようです。 牛舎内の温度や空気の流れを考慮した工夫はもちろん、牛一頭一頭の観察も強化してください。例えば、便の色がおかしい、軟便をする牛が増えてきた、食欲が安定しない、などがサインです。あきらかにカビのはえた飼料は給与しないでしょうが、カビの塊は見えてもカビの胞子やカビの出す毒素は目に見えないので、気になる症状があればカビ毒吸着剤の使用をすばやくスタートさせます。肝機能障害や出血性腸炎などを発症する牛が次々に発生する段階になってからでは、あわてて対処してもやはり終息に時間がかかります。 また、高温多湿で第一胃の発酵も悪くなりがちなので、ふだんなら「もうちょっと様子を見よう」と通り過ぎてしまうような軽い食欲不振でも、第一胃機能促進剤や消化酵素剤などを積極的に添加しましょう。また、それと同時に第一胃粘膜の正常化をはかるために、ビタミンやミネラルの補給(特にビタミンAと亜鉛)も大事です。特に肥育中期の後半が要注意グループだと感じています。
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