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桐野有美のコラム
「肝臓の話−11 「鋸屑(のこくず)肝が教えてくれること」」

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2007年8月29日

 「エンドトキシンの害が肝臓に表れている」ことから、いろんなことが推測できます。
. 鋸屑肝  肝臓の細胞を傷つけるくらい大量に、もしくは長期間にわたってエンドトキシンが胃袋から放出されていた  胃袋での発酵&吸収がうまくいかない、いわゆるルーメンアシドーシスの状態がけっこうあった  その期間はこの牛の発育にとってロスだった(ルーメンアシドーシスについては、ルーメンの話 第9〜12話を参照してくださいね)
. 鋸屑肝  肝臓でエンドトキシンを処理するときに発生する副産物(ラジカル)の悪行を打ち消す正義の味方(抗酸化物質)が全然足りてなかった、もしくは抗酸化物質を早々に使い果たしてしまうほど、他のストレスもすごかった
. エンドトキシンによるその他の被害 ①エンドトキシンはビタミンAを破壊するため、想定外のビタミンA欠乏が起きていた可能性あり。 ②エンドトキシンは本来、炎症を起こさせるための物質。あちこちに炎症を起こし、枝肉品質を落としている可能性あり。ちなみに、エンドトキシンはズルの原因物質でもある!
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