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桐野有美のコラム
「肝臓の話−10 「犯人は体の中で生まれていた!」」

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2007年8月22日

 その犯人は、みなさんもよくご存知の「エンドトキシン」という毒素です。
 これは牛の胃袋で発生しています。第一胃での発酵がうまくいかない、もしくは発酵して作られたものを胃壁から吸収できない、という状態が続くと、第一胃内の環境がどんどん悪化し、その結果、もともと胃袋の中に棲んでいた菌が次々と死滅していくわけですが、死ぬときに毒素を出すタイプの菌がいるのです。この毒素こそが「エンドトキシン」です。
 エンドトキシンが胃袋で大量に放出されたら、それが牛の血液中に入り、解毒担当の肝臓まで運ばれます。そこで起こることは前回の話のとおり。働き者の肝細胞自身がやられてしまいます。
“鋸屑肝の何がいけないの?だって肝臓ってもともと余力があるから、ちょっとくらい壊れても大丈夫でしょ?”というあなた。今回の話を逆方向から考えると、「鋸屑肝になっている牛は、これまでエンドトキシンによる被害を受けてきた」と考えることができます。つまり・・・
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