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答えは、肝膿瘍と鋸屑(のこくず)肝です。これは、どこの屠場でも肝臓廃棄の理由トップ5にランクインしていると同時に、肥育牛が陥りやすいトラブルと密接な関係を持っています。 肝膿瘍については、過去のコラム「ルーメンの話」でも触れています。そうです。肝膿瘍は肝臓の病気かと思いきや、もともとルーメン(第一胃)のトラブルが原因で生じる病変なのです。特に乳用種肥育では、非常に高い確率でこの病変が見つかりますが、肉用種においても決して珍しくない病変です。ある追跡調査で、屠畜時に肝膿瘍が見つかった牛は、実は生後約9ヶ月齢の育成後期の段階で、すでに血液検査所見に異常を示し始めていることが報告されています。この調査をした地域では、育成後期から肥育前期にかけての粗飼料の給与量確保を徹底した結果、肝膿瘍による肝臓廃棄率を大幅に減らすことができたとのことです。 モノがいいときに肝臓廃棄が出る、というのはよく聞きますが、肝膿瘍の場合はそれが当てはまらないことは容易に想像できます。こんなに若いうちからルーメンの内壁はボロボロ、そこから栄養を運んだ先の肝臓にはでっかい膿の塊、これではせっかく食べたエサがまともに身につくはずがありません。
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