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桐野有美のコラム
「肝臓の話−6 「もういちどバリバリ食ってくれ!」」

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2007年7月18日

 肝臓障害の治療内容は基本的に、炎症を抑え、ブドウ糖やビタミンなどの栄養分を補給してあげることで、ボロボロになった肝細胞が生まれ変わるのを促すものです。また、ビタミンB群やパントテン酸、チオクト酸などを補給することで、肝臓がふだん担っている作業、すなわち糖質・脂質代謝を手助けしてやることも大事ですし、最近、健康食品の宣伝でおなじみの活性酸素(これによって体がサビる。いろんな炎症や老化の原因となる。)をやっつけるために抗酸化剤を使用することもあります。
 うまくいけば、消化器官の活動が再開し、便の状態が改善し、食欲が出てきますが、病変があまりにも進んでいたり、肥育後期で肝臓以外にも負担がかかっていたりすると、再び安定した食欲をとりもどすことは困難です。このような牛は、私たちも屠場での解体に立ち会うようにしていますが、だいたい肉眼でわかるほどのひどい病変が見つかります。
 しかしそれとは別に、なんの治療歴もないのに、送られてきた枝肉成績の備考欄に、なぜか「肝廃」と書かれていることがありますよね。これはいったいどういうことでしょうか・・・
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