(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
桐野有美のコラム
「肝臓の話−5 「肝臓の障害いろいろ」」

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2007年7月11日

 前回お話したような症状で、どうも食欲が安定しないのであれば、獣医さんに診てもらって処置をしてもらいます。
 肝臓の障害にはいろんな種類があって、急性もしくは慢性肝炎(ビタミン欠乏やルーメンの異常、さまざまなストレスなどが重なって発症。当然、肝機能が低下して、肥育牛の職業柄、非常に都合が悪いことになる)から、うっ血肝(肝臓を通った血液がきちんと心臓に戻っていかず、肝臓に血液がたまって腫れあがる。心肺機能の低下が原因)や、肝硬変(肝炎やうっ血肝を放置すると、肝細胞が部分的に死んでいく。その欠損を埋めるように結合組織というカサブタみたいなものが作られた状態)、脂肪肝(何らかの原因で、生きていくのに必要なエネルギーがエサからの吸収では間に合わないとき、体脂肪を燃やしてそれに充てようとするものの、その状態が長く続くと、燃やす作業が上手くいかなくなり、燃やすためにかき集められた脂肪が肝臓にたまってしまう状態。慢性肝炎から脂肪肝に移行することも。)、胆管炎(肝臓で作られた胆汁を運ぶ道が炎症を起こす。肝蛭はこのパターン)、そして肝膿瘍(傷んだルーメン内壁の傷口から壊死桿菌という細菌が侵入して、血液の流れに乗って肝臓に到達し、そこで化膿巣をつくる)まで、なかなか複雑です。症状や牛の月齢に合せて治療していきます。
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