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寄生虫の話−16 「スタートライン」 |
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2007年6月6日
これまで、寄生虫と牛との攻防や、それを踏まえての対処方法などについてお話してきました。環境からあらゆる寄生虫を完全になくすのはほぼ不可能です。でもほとんどの寄生虫には、それぞれの特効薬があります。ですから、寄生虫が牛の体内に入るチャンスをできる限り少なくすること、そして感染があったとしてもそれが牛に悪影響を及ぼす前にしっかり駆除することができます。
最後に、「虫くだしをしたから万全!」ではないということを強調しておきたいと思います。寄生虫の駆除はあくまでも必要最低限の作業です。「いろんな生菌剤や添加剤、ワクチンや栄養剤を試してみたけど、どうも効果がよくわからないなぁ」という場合、実はその背景に、寄生虫による免疫力の低下や消化吸収不良が隠れている可能性がありますよ、ということなのです。つまり、寄生虫の駆除をして初めて、それ以外のいろんな添加剤やワクチンの効果が発揮されるのです。寄生虫駆除してようやくスタートラインに立つのだ、ということを忘れないでください。

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