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桐野有美のコラム
寄生虫の話−15 「肝蛭と双口吸虫」

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2007年5月30日

 線虫駆虫薬が効かないこのふたつには、どう対処したらいいのでしょう。
 まず、やつらの卵は感染した牛の糞便に混ざっているのですが、堆肥をよく発酵させればその熱で死にます。堆肥を完熟させてから施肥してください。そして稲わらの乾燥を十分にし、できれば翌年の夏を越してから給与することでかなり予防できます。前述の「寄生虫のサナギ状態(本名はメタセルカリア)」は、乾燥した稲わらにへばりつきながら2月下旬くらいまでは元気に生きているようです。でも、輸入稲わらが入手できない今、そんな呑気なこと言ってられない!というのが現状かもしれません。
 だからといって放置すると、特に肝蛭はやっかいです。口から入って、胃を通って、腸にたどり着いたら、腸を突き破って(!)お腹の中を移動し、肝臓を突き破って侵入します。そして そこでどんどん吸血しながら牛の栄養を横取りします。牛がまともな発育をするはずがありません。胎盤感染もします。
 そこで登場するのが肝蛭駆虫薬です。ウィルスや細菌などと違って、寄生虫は成長するたびに体の形や性質を大きく変えるため、薬が効く時期、効かない時期があります。図に挙げた薬を参考にしてください。

kirino_20070530

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