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桐野有美のコラム
寄生虫の話−14 「効かない相手も忘れずに」

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2007年5月16日

 消化管内線虫をターゲットにした駆虫薬の多く(成分としてはイベルメクチンやモキシデクチン、ドラメクチンなど。商品名は「寄生虫の話−5」を参照)は外部寄生虫にも効くことから、寄生虫対策の万能薬と言っても過言ではありません。ただ、ここで忘れてはならないのが、なんとこれらの薬が効かない寄生虫もいるということです。(ちなみにコクシジウムに関してはもちろん効きませんが、これについてはすでにこのコラムに登場しているのでそちらをご覧ください)
 効かない相手とは・・・条虫吸虫です。この中で問題になるのは、吸虫のなかまである肝蛭と双口吸虫です。いずれも、サナギの状態のときに水田の稲にくっついて、それが稲わらとして餌になったときに牛の口から摂取されて感染する、という寄生虫です。肝蛭の被害は有名ですが、今までマイナーだった双口吸虫も実は悪さをすることが報告されています。これらの汚染が予想される地域では、前述の駆虫薬以外に対策をうたなければなりません。詳しくは次回!

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