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桐野有美のコラム
寄生虫の話−5 「ひとつの考え方として・・・」

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2007年3月14日

 まず、消化管内線虫(胃や腸に寄生する糸くずみたいなタイプ)を駆除するには、背中にたらすタイプでおなじみのイベルメクチン製剤もしくはモキシデクチン製剤という駆虫薬が使われます。一方、コクシジウム(下痢でおなじみ)を駆除するには、サルファ剤という薬剤が使われます。つまり、消化管内線虫とコクシジウムはどちらも寄生虫なのに、効く薬が違うのです。
 そんなわけで、「寄生虫症の予防として消化管内線虫だけを駆除したら、生き残ったコクシジウムが“わが世の春”とばかりに子孫繁栄して大暴れするおそれがあるから、消化管内線虫を駆除するときには、サルファ剤も併用しときましょう」という指導があります。またこれとは逆に、「消化管内線虫だけを駆除したつもりなのに、なぜかコクシジウムによる下痢までなくなってラッキー!」という現象も知られており、そのことから「消化管線虫を駆除するときに予防的にサルファ剤まで併用する必要はないですよ」という指導もあります。実際、寄生虫学専門の先生方の中でも、意見が分かれるようです。
 かかりつけの獣医さんや技術員さんと一緒にオーダーメイドの予防策を作っていくのが一番!ですが、そのときの参考になれば、との思いで、これらふたつの指導の背景にある現象を、牛の免疫システムという観点からご説明しようと思います。

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