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数面麻子のコラム
第97話:子牛についていろいろ⑦

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2015年9月4日

 生まれたばかりの子牛は自分の体の中にほとんどエネルギーを蓄えていません。寒い環境下で過ごした場合、1日耐えられるほどのエネルギーしか保持していないとも言われます。ですので、下痢等で体力を消耗してしまうとすぐに弱ってしまいます。衰弱が見られる子牛にはエネルギーを補ってあげましょう。
 そんな時には、なるべく早くエネルギーに変わるものを与えてあげます。脂質(脂肪酸)については蓮沼獣医師のコラムに詳しく書いてありますので、今回は糖質について少し。子牛が利用できる糖質は乳糖、ガラクトース、グルコースのみです。成牛と同じような消化機構はまだ持たないため、デンプンは利用できません。ミルクから摂取している糖質は乳糖ですが、乳糖はある程度の消化過程を経てからエネルギーになる二糖類です。乳糖が分解された最終形態のブドウ糖(グルコース)はすぐにエネルギー源となってくれます。点滴剤にブドウ糖液がありますが、ブドウ糖液はある一定以上の速度で流すと十分に吸収されません。ですので、点滴に時間をかけてあげられない、または点滴できる環境にない時は経口で投与してあげるのも有効です。

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