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桐野有美のコラム
寄生虫の話−8 「現場にはいろんな背景が・・・」

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2007年4月4日

 しかし、7話で紹介したストーリー(消化管内線虫を駆除したら、なぜかコクシジウムまで解決!)とは逆に「消化管内線虫を駆除したら、血便になっちゃった」というケースもあるようなのです。その理由はまだ明らかではないのですが、考え方としては次のようなものが挙げられています。
 まず、その牛の免疫力。栄養失調(寄生虫症の牛にはよくあることですね)だったり、肺炎やその他の疾患を併発していたりすると、コクシジウムを邪魔するための「細胞性免疫」作戦を開始することもままならないでしょう。
 もしくは、コクシジウムの濃厚感染。「細胞性免疫」作戦は、コクシジウムに対してかなり効果的だと言われているのですが、ものすごい量のコクシジウムが侵入してきたら、太刀打ちできないかもしれません。特にコクシジウムに対する作戦は、過去に同じ種類のコクシジウムと戦った経験がない場合はあまりうまくいかないことが明らかになっています。
 こういった状況が予想される場合は、消化管線虫の駆虫薬を使うとき、コクシジウムを殺すサルファ剤も一緒に投与したほうがよさそうです。

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