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数面麻子のコラム
第95話:子牛についていろいろ⑥

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2015年8月21日

 子牛の下痢は様々な病原菌が原因で起こります。生後すぐにみられる下痢では、大腸菌(毒素原性大腸菌が多い)が疑われたり、生後1週間以降になってくるとクリプトスポリジウム、コロナウイルス、ロタウイルス、サルモネラ菌、クロストリジウム、コクシジウム・・・など、まだ免疫的にも体力的にも弱い子牛の時期には様々な病原体が下痢の原因となります。また、厄介なことにウイルスやクリプトスポリジウムにおいては抗生物質が効かないので、感染・発症してしまうと、対処療法しかできず、子牛自身の力で病原体と戦ってもらうしかないというようなことも・・・。

 病原体による下痢の集団発生が見られる場合は、まずその犯人が何なのかを知ることが非常に大切です。例えばクリプトスポリジウムが原因であれば、抗生物質や消毒ではやっつけることはできないので、すぐに敷料を変えて石灰乳を塗る等の処置が必要となる、というように適切な対処をするためには敵を知る必要があります。検査には簡単な検査キットもありますし、保健所で検査してもらうこともできます。

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