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蓮沼浩のコラム
第419話:判断が難しい

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2015年8月20日

 先日シェパードに我が家の子供が二人実習にきました。お父さんの職場を見るとのこと。猛烈にいやだったので、大反対したのですがカミさんに押し切られました。二人のS獣医師にお願いして連れて行ってもらいましたが、朝一で突然死した牛さんの死亡検案、断脚した牛さんの治療、帝王切開した牛さんの治療など小1と小2の子供にはパンチの効いた経験だったようです。

 前回手術についてお話しましたが、現場の診療では本当に手術に踏み切るのが難しい症例があります。尿石症による尿閉や、帝王切開、尿膜管遺残などはもちろん悩むときはありますが、判断がやりやすいといえます。乳牛の世界での四変も手術に踏み切る判断がわりとやりやすいかもしれません。ネピアグラスの繊維球が詰まって腸閉塞をおこしている症例の判断はやはり経験がないと難しいかもしれませんが、牧場のエサの給与状況、牛の症状、そして血液検査で低クロールを確認すればすぐに手術に踏みきれます。
 やはり小生が一番むずかしいと思うのは子牛の消化器疾患での開腹手術に踏み切るタイミングです。どうしても判断が遅くなり、おまけに開けても手がつけられない状態であることがほとんどです。捻転、穿孔など何かしらの原因で腹膜炎をおこしている場合はやはり予後は絶望的。今後の重要なテーマですね。

閲覧注意!
下に写真を貼り付けますが、臓器の写真なので苦手な方はスクロールしないでくださいね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


四胃穿孔 もちろん腹膜炎併発 無念!


子牛の踏創からの腹膜炎 無念!


子牛の円盤結腸捻転  無念!

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