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桐野有美のコラム
寄生虫の話−3 「大丈夫、いい虫は殺しません」

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2007年3月3日

 まずは、駆虫したらいい虫も悪い虫も全部殺してしまうのではないか、という疑問について考えてみましょう。
 本来、ある小さな生物(ここでは寄生虫のこと)が別の大きな生物(宿主:しゅくしゅ。ここでは牛のこと)の体に住まわせてもらってる状態には、次の三パターンあります。宿主にとって「百害あって一利なし」であるとき、この関係は「寄生」といいます。一方、宿主にとって「役に立たないかわりに害もない」場合は「片利共生」
宿主に少しでも有益である場合(ギブ&テイク)は「相利共生」といいます。の代表例は、「牛」と「ルーメン内原虫」との関係です(ルーメン内原虫についてはこのコラムの「ルーメンの話 第3話」を見てくださいね)。原虫も寄生虫の仲間なので、もし、「いい寄生虫」=「殺しちゃいけない寄生虫」がいるとするならば、彼らのことです。しかしありがたいことに、一般的に使われている駆虫薬(成分:イベルメクチンなど)は彼らにはまったく効きません。。ご安心を。

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