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一般に「品(しな)がいい」と言われる状態の牛は、獣医学的な意味ではもはや健康ではありません。そもそも、脂肪細胞であるサシが筋肉組織内に存在すること自体が病的な状態です。それを踏まえた上で、せめてルーメンだけでも健康な状態に保つことができれば、牛はごきげんに餌を食べてくれますし、それが肥育の基本かつ最低限必要な条件ではないかと思うのです。 ただ、“普通に生きていくのに必要な量”の何倍もの餌を食べさせているこの現場において、牛本来の正常なルーメン発酵を維持することは、単純に考えると無理な話です。 でも、牛のルーメンの本来の働き、仕組みを知ることで、おのずと「肥育をする上で通常より無理をさせなければならない部分」が見えてくると思います。これは非常に重要なポイントです。それこそがトラブルが発生しうるポイントだからです。つまり、そこをフォローしてあげるのが牛飼いさんの腕の見せどころだと思うのです。
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