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桐野有美のコラム
「第19話 「尿石症とルーメン」」

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2007年2月10日

 尿がアルカリ性になるとなぜいけないのでしょう?尿中にはもともとリン酸マグネシウムが存在します。特に、肥育牛の餌にはリンが多く含まれていますので、なおさらです。いつもはそれらがきれいに溶けているのですが、尿がアルカリ性の状態が続くと、このリン酸マグネシウムがアンモニアと手を組んで結晶化してしまうのです。結晶と言ったって、はじめは目に見えないくらいのものです。しかし、結晶と結晶がくっついて、どんどん大きくなって、それにカルシウムやその他の尿成分が付着して、ついに目に見えるくらいの固まりになってしまったのが、尿石症です。
 作られたいくつかの結石が、何かの拍子にスポッと尿道にはまってしまったとき、「おしっこが出ない!尿石症だ!」と大騒ぎすることになりますが、実はそれ以前に大豆くらいの結石がザクザクと膀胱の中に入ってたことを想像すると、ぞっとしますね。腎機能に異常があって発生するタイプの尿石症はほとんどコントロール不能ですが、そうじゃないものは、ルーメン発酵を適正にすることで予防できます。
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