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職業病シリーズも終盤です。 ここまで紹介した、「ルーメン内で発生する酸が原因となる病気」とは逆に、アルカリ性のもの、すなわちアンモニアが引き金となる病気もあります。 第7話の、たんぱく質の消化について書いたところを読み返していただければ、すぐにピンとくると思います。DIP(分解性たんぱく質)とNFC(非構造性炭水化物)のバランスの話です。このふたつがちょうどいい比率でルーメン内に存在していればいいのですが、それが崩れてしまったとき、どんな病態が起こりうるのでしょう? DIPから分解されてできたアンモニアを材料に、菌体たんぱくを作ろうとするとき、必要なエネルギー(NFC)が確保できなかったとします。すると材料のアンモニアが余ってしまいます。余ったアンモニアが血液に溶けこむと、血液はアルカリ性に傾きます。すると、その血液から作られる尿もアルカリ性になります。これはちょっとまずいのです。
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