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桐野有美のコラム
「第17話 「小さなSOS」」

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2007年1月10日

 まず十分な粗飼料を与えているかチェックします。質と量が十分かどうかは、お昼過ぎに牛舎を見回ってみるのがいいようです。すなわち、8割以上の牛が座っていて、そのうち半分以上の牛がモグモグと反芻しているのが理想だそうです。
 それから便をチェックします。
 便がおかしくなるのは、腸炎のときだけではありません。なぜならば…ルーメン内での発酵がうまくいかず、完全に消化されていない状態の炭水化物は、どこへ行くでしょう?もちろん腸ですね。そしてそれらは大腸で異常発酵してしまいます。そのときに発生する酸とガスが原因で、大腸がダメージを受け、便の性状がおかしくなるのです。
 注目すべきは、排便した直後はふつうの山吹色なのが、空気に触れるとすぐ灰色っぽく変色するタイプです。もしくは泡立つような下痢も要注意です。でも一番のポイントは、匂いです。日々慣れているはずの牛の排泄物が、
「くさっ!」と感じたら、それは異常発酵の匂い(腐敗臭)かもしれません。
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