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桐野有美のコラム
「第7話 「材料と労働力がそろわないと製品はできません」」

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2006年10月28日

 ルーメンで作られた菌体たんぱくはその後どうなるかと言いますと、その他のルーメン内容物と一緒に第四胃、そして小腸へと押し流されていきます。そしてそれは良質なアミノ酸として分解・吸収されて牛の体をつくる材料になるのです。
 さて、ここで重要なポイントがあります。ルーメンに棲む微生物が自分の体(=菌体たんぱく)を作るとき、材料として使うのはDIPですが、エネルギー源はNFCなのです。ということは、DIPNFCがちょうど揃ってないと菌体たんぱくはうまく作れないのです。
 DIPが多すぎてNFCが足りないと、どうなるでしょう?
 材料(DIP)はたくさん入荷したけど、それを製品にするための労働力(NFC)が足りない、というもったいない状態です。材料が余ってしまいます。
 たんぱく質から分解されてできたアンモニアがいつまでも利用されないでいると、仕方がないのでそれはルーメンの内壁からそのまま吸収されることになります。これは結果的にあちこちにトラブルをひき起こします。それについては、病気の話のところで書こうと思います。
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