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桐野有美のコラム
「第6話 「たんぱく質も消化できるよ」」

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2006年10月21日

 次に、ルーメンのもうひとつの働き、たんぱく質の消化と菌体たんぱくの合成の話をちょっと詳しく書いてみます。
 たんぱく質のうち、牛が消化できるものには、大きく分けてDIP(Degraded Intake crude Protein:分解性たんぱく質)とUIP(Undegraded Intake crude Protein:非分解性たんぱく質)があります。
 ちなみに分解性〜も、非分解性〜も、最終的にはちゃんと分解されるのですが、ここで言っているのはルーメンの中で分解されるか否かということです。そういうわけで、ここでいうたんぱく質はDIPのことだと思って下さい。
 ルーメンに棲む微生物の体の表面には、ある酵素がくっついていて、これでたんぱく質(DIP)をペプチドに分解しています。微生物はこのペプチドを材料に自分の体(これが菌体たんぱく)を作ります。ペプチドの一部はアンモニアまで分解されて微生物の体の外に放出されます。一方、アンモニアを好物とする微生物というのもいて、彼らはさっきの微生物が放出したアンモニアをとりこんで、自分の体を作る材料にします。これも菌体たんぱくです。こうして作られた菌体たんぱくがどうなるかは次回!
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