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そんなわけで、ルーメンというのは、ちょっとしたことで酸性になりすぎる可能性をはらんだ巨大発酵タンクなのです。 唾液はそんな危険を回避するシステムのひとつです。牛の唾液は一日になんと100〜180リットルも分泌され、間断なくルーメンに流入しています。唾液で第一胃の中身をうすめる、というのもありますが、重曹をたくさん含んだ唾液(pH8.1〜8.8つまりアルカリ性)にはルーメン内の酸を中和する力があるのです。しっかり粗飼料を噛んだり、反芻したりするのは、十分に唾液を分泌させる意味でも大事なことなんですね。 唾液の話が出たついでに、反芻の話も書いてみます。 反芻で吐き戻されるのは、実は第二胃の内容物です。ルーメン(第一胃)→第二胃に移動→反芻によって口の中に吐き戻され、もう一度噛みつぶされて→再びルーメン(第一胃)に戻ってきて発酵・消化されます。はじめにルーメンに入ったときは餌のかたまりの中心にあって微生物に触れられなかった部分も、反芻によってしっかり破砕されて露出することで、めでたく微生物と出会えるというわけです。 “口から餌がどんどん入ってきてルーメンの容積がグンと拡がること”と、“第二胃の内壁や入り口を繊維がチクチク刺激すること”が反芻を引き起こすサインになります。
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