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第90話:食べたくないわけじゃない |
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2015年7月17日
先日開放骨折の牛さんを治療することになりました。開放骨折は予後不良となる確率が高い事故なので、大抵は出荷をするのですが、その子は薬の出荷規制の関係で、右前肢断脚をすることになりました。
手術自体は椎葉獣医師と蓮沼獣医師で成功させ、術後も一切発熱なく、そこそこ順調に回復してくれました。
しかし、餌においては乾草をよく食べるものの配合飼料をほとんど食べず。顔色は良いのにどうしてだろうかと思っていたら、ある日農家さんが寝ている牛さんのそばに配合を持って行ったところ5㎏も食べたとのこと。やはり立つのが辛いのか・・・、と飼槽をみると、どうやらその構造に原因があるのではということが分かりました。

配合を食べるために頭を下げる際、前肢に負荷がかかるため上手く食べられなかったのが原因でした。乾草はコンモリ盛られるので、そんなに頭を下げる必要がないので食べられたのでしょう。今まで食べたいのに食べられず、横目で配合を眺めながら乾草を黙々と食べていたのかと思うとなんだかとても申し訳ない気分になりました。
環境を整えることは牛さんを元気に育てる上で非常に大切です。今回のような牛さんでも、快適に暮らせるようにもっとしっかり観察するべきだった・・・・と後悔と同時にとても良い勉強をさせてくれたことに感謝です。

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