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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−71 「粗飼料を制限しすぎると」」

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2010年1月22日

 また濃厚飼料をたくさん給与しようと意識しすぎて、粗飼料をあまりにも制限しすぎると大変危険です。粗飼料を制限した当初は、牛の濃厚飼料の摂取量がぐっと上がります。しかし、それに伴う粗飼料が摂取できていないため、ルーメン発酵が乱れて、軟便が増えます。さらに牛はあまり座って反芻しなくなり、1群の中の反芻している牛の頭数は激減してしまいます。また、異常発酵が続くと、エンドトキシン産生する確率も増えるので、肝炎などの代謝病へと進行する個体が出てきます。さらにもっと粗飼料を制限すると、肥育後期なのに鼓脹症の牛が多発、などといったことにもなりかねません。
 自分の家の粗飼料の量が適正か心配な農家さんは、朝・夕2回給餌であれば、お昼過ぎに牛舎に行き、座って反芻しているかどうか確認して下さい。
 また粗飼料を制限した当初は、濃厚飼料の食いは上がりますが、長くは続きません。やはり、粗飼料が適正に給与されている群ほど濃厚飼料の摂取量も安定しているイメージです。
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