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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−70 「粗飼料の制限給与の注意点」」

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2010年1月15日

 粗飼料を制限する場合、最も重要なのは、各個体に規定量ちゃんと給与出来ているかということです。例えば6頭マスの部屋で、濃厚飼料と粗飼料の飼槽が別々で、この両方の飼槽の長さで6頭並べるような設計の部屋の場合を考えます。このとき、粗飼料の飼槽側だけを見ると、3頭しか並べないことになります。このような部屋で粗飼料制限を行うと、牛はいつでもお腹いっぱい食べられる濃厚飼料よりも、制限されている粗飼料を優先的に食べるようになります。そうすると、6頭のうち強い3頭は自分の好きなだけ粗飼料を食べるようになり、残りの3頭は規定量を摂取することが出来ません。その結果、この弱い3頭達は、肥育が進むにつれてルーメン内の異常発酵が進み、代謝病などを併発して発育不良となってしまうのです。
 この群飼の考え方はとても重要で、農家さんによっては、粗飼料は1頭1.5kgずつ給与していると思っていても、実際には給与できていない場合が多くあります。このタイプの農場では1マスの中に1〜2頭くらいは、発育不良牛がいることが多いです。
 こういう農家さんの場合は、粗飼料を制限しないか、又は給与する飼料の順番を意識することをお勧めします。この場合だと、制限する粗飼料を先に給与し、それをほとんど食べきった後に濃厚飼料を給与するといった感じです。この場合も、全頭が1列に並べることが最低条件ですが。
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