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戸田克樹のコラム
第41話「ちばなし⑧~ヘマと…~」

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2015年7月7日

とある農家さんで膣脱があり、陰部縫合を実施した帰り道。
牛さんの部屋を出て、道具を片づけようと歩き始めたそのとき

ずるっ

うほ!!!!???

ドンっ!!!

うぅぅ…。

あおあおと茂った草たちが隠した斜面に足をとられて滑ってしまったのです。

結果、左肋骨を強打しました。
滑ってコンクリに打ち付けるまでは一瞬のできごと。
 
 
ちなみに、事故から1週間が過ぎた今でもクシャミすると痛みます。
お恥ずかしい。

そんなヘマをやらかしたので、今回は「血液のヘマ」についてトークです。
(*’▽’)

ヘマはヘマでも「ヘマトクリット」が正式名称。
これ、血液中の「赤血球の割合」を指しております。
割合なので、考え方はほとんど赤血球の数と同じです。

これまで貧血状態について述べてきましたが、赤血球の割合を示すこのヘマトクリット値の減少も、同様に貧血状態の指標となります。赤血球減ってるよ~って教えてくれるわけです。
ちなみに、牛の基準値は30%台といったところでしょうか。

減る場合があるってことは増えることもあるん?

いい質問です!
あるんです。
もちろん血液中にたくさん赤血球がある場合にもヘマトクリット値は上昇します。
ただ、それだけでなく「血漿(液体成分)が少ない場合」も、相対的にみると赤血球の割合が増加してしまうのです。

液体が少ない???

そう

脱水状態のことですね。

熱発や飲水が十分にできていないことが原因で循環血液量が減少するとヘマトクリット値は上昇してしまうのです。

貧血の発見だけでなく、「その牛が脱水状態にあるかどうか」を教えてくれる指標、それがヘマトクリットなのでした。

つづく

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