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第412話:バチン!・・・・ やっちまった~~ |
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2015年6月18日
本来であれば今回は「牛さんとエネルギー その7」を書こうと思ったのですが、先日非常に貴重な体験を小生はすることができたので、その貴重な体験を今回は紹介してみようと思います~。
平成27年4月に農林水産省は「牛白血病に関する衛生対策ガイドライン」を発表しました。その流れを受けて、ある農場で採血を行っていたところ・・・・
バチン!!
「やべえ、やっちまった!!」すべては一瞬の出来事。
検査の為に採血を行っている時に駆血している右手がコンクリートと牛さんの頸部の間に挟まれて右親指の靭帯が断裂してしまいました。針を刺した瞬間でした。
右手の親指があり得ない方向に曲がり、一瞬右手首から先が牛さんの頸部とコンクリートで隠れます。恐る恐る手を引き出すと、まあ手が腫れる、腫れる。今まで見たことがないくらいに右手が腫れあがりました。その後は激痛、悶絶。仕事は中断して即病院です。
怪我をしてしまった自分の未熟さと不甲斐なさもさることながら、多くの方に迷惑をかけてしまった自分に激しい自己嫌悪!すみません!!!反省の意味を込めてその原因を分析してみました。
1. 最後の1頭だったので心に油断があった。
2. 農家さんから「暴れる牛だから気を付けて」と言われていたのに、何とかできるでしょうと慢心があった。
3. 暴れ牛だったので頸部を柵のそとに出すやり方で保定したが、保定する場所がわるかった。具体的に言えば、頸部とそのすぐ下にコンクリートの枠があり、首を曲げれば手が挟まる状況であった。
4. 一番重要な危険予知が甘かった。
私たち獣医師や農家さんは実は非常に危険な仕事でもあります。今までに何人もの怪我をした方を見てきています。そして色々な話も聞いています。中には命にかかわる話もあります。
事故と怪我は一瞬で来ます。油断したこの大馬鹿者の話から日々のお仕事の中で安全についてもう一度考えてみていただけたら幸いです。
それにしても・・・・指の靭帯でも切れるときに「バチン!!」とあそこまで大きな音がするとは驚きです。最初は骨が折れたのかと思いました。本当にみなさん、お気を付け下さいね。

手全体が内出血で変色し、腫れあがります。
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