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松本大策のコラム
中国牧場奮闘記 その13

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2015年6月15日

 さて、牧場もほぼ完成し、各飼料の手配も整い、敷料も揃いました。
でも、まだやるべきことがあったのです。それは、あちこちの農家さんから購入した子牛を検疫しながら粗飼料で腹作りをする「検疫農場」を見つけることです。

 なんと言っても中国ですから、用心には用心を重ねるに越したことはありません。
こちらもジャンさんに骨を折ってもらって幾つかの候補農場を見つけてもらい、最終的に僕が判断して決めました。
 その農場に決めた理由は、1:牛飼いをやめて数年経過していたこと、2:床などをきれいに洗浄してあったこと、3:メインの牧場から90kmほど離れていること、でした。
 この農場をビルコンで消毒して、一週間後に各地からの子牛を導入しました。
って書くと、簡単に導入したように感じられると思いますが、日本みたいに牛専用の運送会社があるわけでもなく、また、不思議な場所で計量されて税金を取られるなど、とても日本での素牛導入とはおもむきの違うものでした。それから、誰かがついておかなければ、せっかく購入した子牛をもろともトラックが消えないとも限りません(信じられないような心配をしなければ損をするのが中国です)。結局、ジャンさんと僕たちが車で随行することになりました。
 朝から移動して、先に着いたスタッフが子牛を集めている場所についたのが夕方遅く。それからトラックごと計量して税金払って、晩飯を食おうとしたのですが、食堂はジャンさんが敬遠するほど衛生的でない(牛の獣医さんは平気だと思うのですが…)ところばかりだったので、スーパーでクッキーらしいものと水を大量に買い込んで、それを晩御飯にしました。
 それからトラックと一緒に走って導入牧場へ着いたのは明け方の6時頃です。ジャンさんは一睡もせずに走り続けてくれましたし、僕も寝つきが悪いので結局眠れずにジャンさんと下手な中国語で話をしていました。

 ようやく牧場に到着した子牛は、一頭一頭秤で計量して、鼻環と耳標を装着して、全部終わったのがお昼近く。秤といってもかろうじて子牛が乗れるように板を乗せただけのものですから、それだけでも「あーあ、やめちゃおっかなぁ」と思うほど手間がかかったのです。
 終わった時になんか変な異変に気づきました。呼吸が苦しくてめまいがするのです。過労と熱中症でした。

続く

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