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松本大策のコラム
中国牧場奮闘記 その12

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2015年6月8日

 それから、牛さんと言えば「良質の粗飼料」が欠かせません。イナワラは、日本にも輸出しているくらいですし、山東省では口蹄疫の発生報告もないので、入手できると思っていました。でも、不安はやはり前期の青物。ヘイキューブとまでは言いませんが、ルーサンやチモシーとか、果たして手に入るのかな?と心配していました。いろいろ調査した結果、中国ではまさにこれから10,000頭規模の大規模な酪農場が作られようとしているところで、ルーサン(ムーシツォウと現地では呼びます。日本語にないムーという漢字と宿草の3文字です)もチモシー(金牧草と書いてチンムーツォウと読みます)もかなり良質なものが入手できました。もっとも、10年たった今では、大規模酪農家というか、それらを傘下に収めている四大乳業メーカーとの奪い合いで大変なのですが...。
 
 少し寄り道になりますが、ついでですから中国の畜産製品のお話をしておきましょう。みなさんはご存じなのかも知れませんが、僕は「中国では、まだまだそんなに畜産製品は普及していないんじゃないか」と思っていました。しかし、実際はスーパーの食品売り場では、日本よりもはるかに種類の多い乳製品や食肉加工製品が並んでいて、びっくりしました。牛乳やヨーグルトの製品の多さ!ヨーグルトには、プレーン、ブルーベリー味、イチゴ味、変わったところでは麦味(オートミールみたいなのが入っていてけっこう美味しい)、小豆味など、いろんな味のものがでていてサイズも豊富。パッケージも日本でよく見かけるカップ入りやドリンクタイプ、ビニール袋入り、などいろんな種類があります。10年前はなかなか見かけなかったチーズも、ナチュラルチーズが増えてきて、今ではブリー、ブルー、カマンベール、ブルサンアイユ、ゴーダ、チェダー等々いっぱいあります。ミルクにしても安いのから高いのまで5倍くらいの価格差があり、LL(ロングライフ)ミルクの方が多いのですが、生乳も高いけど売っています。
 畜肉製品にしても、ソーセージ1つとっても日本よりはるかに種類が多く、またチーズ入りからピータン入り、牛の血で作ったもの、など目移りするくらいあります。でも、フランクフルトは、現地の知人に良く聞いて買わないと、「なぜこんなに甘いの?というくらい甘いものが多いです。」まったくビールが進まないのですが、向こうの若者は大好きです。

 さて、牧場もなんとか(本当になんとか)完成し、飼料原料の調達もなんとかできたので、いよいよ次回からようやく素牛の導入と肥育のお話しに移りますね。


ルーサンヘイ


なんとか牛舎完成

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