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椎葉絢香のコラム
膝瘤ってなんですの~?⑧

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2015年6月11日

 遠心分離を行わない2つ目の方法がこちらです。

作成方法Ⅱ
 ①ACD-A液(1.5ml)採血管からACD-A液を0.5ml除去
 ②牛の静脈血10mlを採血管に入れる。
 ③膝瘤へ注入前にボログルコン酸Caを2ml加える。

膝瘤ってなんですの~?⑧
 
 この全血PRPを注入する方法であれば、現場で採血→その場でPRP作成→膝瘤へ注入することができます。PRPは、採血後8時間以内に注入しなければ効果を発揮しにくくなることが分かっています。全血PRPは、遠心分離して作成したPRPと比べて赤血球が入っているため、PRPの濃度は少し薄めです。

 PRPを注入する時にもいくつかの注意点があります。

 まず、内容液を吸引しましょう。膝瘤の状態によっては、無色透明・黄色透明・赤色透明・白色混濁…など様々な液体がたまっています。

 無色・黄色→無菌的状態で漿液が貯留
 赤色→外部からの力が加わり、出血
 白色→細菌感染

 内容物が赤色・白色の場合、中の液体が綺麗に抜けないことがあります。出血している時は、止血のために固まったフィブリノーゲンが原因です。白色の時は、膿瘍や膝瘤の内膜が絨毛(細菌のベットです!)を形成していることが多いので、これらが吸引の邪魔をします。うまく吸引できない時には、生理食塩水を入れてもう一度吸引してみてください。これを繰り返して内容物が綺麗な透明になるまで繰り返し、膝瘤をぺったんこにしましょう。………つづく(*^▽^*)

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