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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−60 「下痢の対処法」」

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2009年10月30日

 中期〜後期にかけて肥育牛が下痢をした場合、先ず原因を考えます。牛が食べるからといって、濃厚飼料を給与し過ぎたなと農家さん本人の自覚があるならば、過食によるルーメン内の変化でしょう。また、粗飼料の量が少なかったり、質が悪かったりなどしても、ルーメン内のバランスは崩れます。このような飼料給与に関係する原因であるならば、そこを調節するのが一番です。それから、特にこういう時は良質な粗飼料をたくさん与えてください。肥育中期〜後期にかけての粗飼料給与の目的はルーメン内のコントロールです。他には、ルーメン内の正常化を促進する意味でも、アースジェネターなどの生菌剤やトルラミンなどの健胃剤などを飲ませると良いでしょう。また、第1胃内の毒素を吸着するために、ソフトシリカやゼオライトなどの吸着剤を餌に添加するとさらに効果的です。
 次に、さほど増飼もしてないし、飼養管理に変化はないのに、下痢する場合は、ビタミンA欠乏に起因するルーメン粘膜の脆弱化を考えられます。農家さんの使用している餌の種類や給餌方法によりその時期は異なりますが、必ず下痢をし始める時期があるはずです。
 対処法としては、生後21ヶ月以降であれば、積極的なビタミンAの補給をお勧めします。またルーメン粘膜の強化には亜鉛も大切ですから、ドン八を併用するのも効果的です。もしビタミンAを使用するのに抵抗がある場合は、ドン八の添加だけでも効果はあります。
 ビタミンA欠乏による下痢の原因療法は、ビタミンAの補給です。前回のコラムでも言いましたが、下痢させて良いことはひとつもありません。せっかく牛を捕まえて下痢の治療をするのであれば、併せてビタミンの補給をしましょう。順調に肥育出来ている牛に関しては、何も触る必要はないです。適材適所で行きましょう。
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