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蓮沼浩のコラム
第410話:エネルギーと病気 その5

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2015年5月28日

 今回は出張が長かったです。北海道、岡山、島根、広島と回っていました。しかし出張に出ることで大きな視野を持つことができるだけでなく、多くの方との出会いがあります。本当にありがたいことです。

 さて、前回VFA(揮発脂肪酸)は短鎖脂肪酸の一種であり、これを牛さんはエネルギーとして利用しているというお話をしました。しかし、このVFAはルーメンで作られますし、おまけに揮発性の物質。子牛は十分にこのVFAを利用することはできません。
では子牛はVFAの代わりにエネルギー源として何をつかっているのか?
そこで出てきたのが中鎖脂肪酸というものです。

種類としてはカプリル酸、カプリン酸などなど。
これを聞いた最初の印象はというと・・・・

何それ?という感じでした。今までの人生であまり聞いたことがないな~。

でもこれらの脂肪酸は実は母乳や粉ミルクの中に数パーセントですがふくまれているのです。子牛はVFAを利用できないけど、母乳に入っているこれらの脂肪酸でエネルギーを補給していたのですね。
 
ん!! ということは、十分な量のミルクを飲んでいなければ子牛はすぐにエネルギー不足に陥ってしまいます。寒冷地や子牛にストレスがかかるところではエネルギー不足にならないようにミルクの量を調節することが重要ですね。

そしてさらにミルクの量も当然大事なのですが、それとは別に気をつけなくてはいけないことがあります。

それは離乳です。

毎日ミルクから補給されていたエネルギーが短期間で一気になくなるのです。粗飼料や配合飼料から十分にVFAを産生して、それをエネルギーとして利用できる状態になっていればいいのですが、基本的にはそのような万全なルーメンの状態になっていない子牛を離乳するのです。
当然離乳した時のエネルギーの低下は激しいものがあります。どうしたものでしょう?

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