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蓮沼浩のコラム
第409話:エネルギーと病気 その4

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2015年5月14日

 今日は子供二人の家庭訪問。子供たちの家とは違う一面を聞けるか楽しみです。仁義礼智のしっかりとした子供に育っているといいのですが。
 
 
 私たち獣医さんや農家さん、そして配合飼料メーカーの方たちがお話をしていると、よくエサの話になることがあります。そして必ずでてくるのがCP、DIPやらNDF、NFCといった単語です。これらはタンパク質と炭水化物を表す英語の短縮です。

「いや~~~、これではCPが足りないんじゃないかな~」
「DIPとNFCのバランスがちょっとおかしくない?」などなど。

もちろんこれらのタンパク質や炭水化物は非常に重要な栄養素であることは間違いありません。間違いなく大切です。しかし、実は私たちはもう一つの栄養素を意外と意識していないような気がします。「三大栄養素」の残りといえばそうです、脂肪です。あまりこの脂肪の話が出てこないのですよ。もちろん枝肉の脂質の話は重要でありますが、一番話題としてよく耳にするのが「おいハス、最近脂肪がつきすぎじゃねーか」など人間のダイエットの話ばかり(笑)。
ではこの脂肪とは何かといいますと、簡単に言えばグリセリンと脂肪酸が結合したものなのです。動物は肝臓や脂肪組織に貯蔵されている脂肪を状況に応じてグリセリンと脂肪酸に分解してエネルギーとして利用しているのですね。
ではこの脂肪酸にはどのような種類があるのでしょう?

1. 短鎖脂肪酸
2. 中鎖脂肪酸
3. 長鎖脂肪酸

大きく分けて、この3つです。この中で1の短鎖脂肪酸は実は牛さんに関係する仕事をしている人は非常によく知っているのです。酢酸、プロピオン酸、酪酸(β-ヒドロキシ酪酸)なんて聞けば、すぐにVFAではないか!!と思いだします。第一胃で日々微生物が作り出す牛さんのエネルギー源です。このVFAはvolatile fatty acidの略です。日本語に訳せば揮発性脂肪酸。そうです、やっぱり脂肪酸なんですね。でもここで非常に重要なことが判明します。
子牛は第一胃が十分に発達していないから十分な量のVFAを作り出し、なおかつエネルギーとして吸収できないのです。一番成長したり、病気に打ち勝ったりするためにエネルギーが必要なのにVFAを使えない!
さてさてどうしましょ?


畜産現場で脂肪の話といえば、ダイエットのことばかり(笑)

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