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蓮沼浩のコラム
第408話:エネルギーと病気 その3

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2015年4月23日

 慢性肺炎の子牛は食欲がなく、栄養状態も悪いものが多いです。血液検査を実施すると程度の差はありますが、総蛋白(TP)、総コレステロール(TC)、尿素窒素(BUN)などの数値は軒並み低い値が出ます。餌を十分に食べてなく、低栄養状態になっているので当然といえば当然なのですが。これらの個体に少しでも栄養状態を改善してもらうために脂肪酸を継続給与することで状況にもよりますが、TP、TC、BUNなどの数値が改善する場合があります。特にTCなどは大きく改善するケースが多いと感じています。慢性疾患はどれも非常に厄介であり、簡単には状態は改善しません。しかし、長期間戦わなくてはいけない症例の場合など、抗生物質などで治療するだけでなく、脂肪酸を補助として使いながら治療を進めていくことも非常に有効であると思っています。さらに言えば、実はエネルギーの状態を良好に保つということは疾病予防にも大きな威力を発揮します。栄養状態を充足させておくことは様々なストレスにさらされたときに子牛が病気に打ち勝つ土台となります。子牛の疾病予防の基本は飼養衛生管理の徹底であることは間違いありません。これに加えて今はこの脂肪酸をいかにしてうまく使って病気を予防していくかということも積極的に試されています。次回からはこの脂肪酸について簡単に説明してみますね!


中鎖脂肪酸はこんな感じです。

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