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椎葉絢香のコラム
膝瘤ってなんですの~?⑥

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2015年5月27日

●膝瘤切開術
 これまでの膝瘤の治療では、膝瘤切開術が最も数多くやられているのではないでしょうか。その名のとおり、膝瘤を切って中の液体成分を除去し洗浄、そのまま閉じてバンテージで巻きくっつくのを待つという方法です。

 シェパードでもこの方法で治療を実施したことがありますが、くっつくのに時間がかかったり再発が見られたりします。

 とくに化膿している膝瘤などは、しっかり洗浄するとはいえ、汚れていた面をもう一度くっつけ合わせることになるのであまりおススメできません。

 ギプスでがっちり固定すれば、しっかりくっつくというお話も聞きますが、肥育牛の400㎏以上の牛にギプスを巻くのは非常に大変です。

●PRP療法
 この方法は、2012年8月の“家畜診療”でNOSAI沖縄の中村先生らが発表されています。PRP(多血小板血漿)は、血液を遠心分離してとれる血小板を凝固させずに濃縮したものです。

 PRPを膝瘤の中に注入することで、血小板のα顆粒に含まれる増殖因子(細胞を新しくしたり、それを助けるための細胞を引っ張て来たり環境を整えてあげる作用のある物質)が放出され、治癒が促進されるという治療法です。

 PRP療法は、すでに人間の整形外科分野(しわを消したり、皮膚のたるみをなくしたり…)、スポーツ整形外科分野(筋肉や腱の修復など…)で高い効果を発揮しています。

 では、この“PRP”私たちでも手軽に作れるのでしょうか………つづく(*^▽^*)

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