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戸田克樹のコラム
第35話「ちばなし③~赤血球の一生~」

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2015年5月26日

さて、血液のお話をしている今日この頃ですが、今回は「赤血球」をターゲットにしていきましょう。

みなさんご存知、赤血球はこんな形。

彼らの使命は体中に酸素を運搬すること。
生体内の酸素運搬屋さんです。
酸素の多いところでは酸素とくっつき、少ないところではくっつけてきた酸素を離すという作業をひたすら繰り返しています。

そんな難易度の高い技を自動でやってのけるとは・・・。

ちなみに、そんな赤血球さん、
骨髄でつくられ、血管内に放出されていくのですが、

つくられたまだお子ちゃまな細胞が赤血球になるときに、なんと腎臓が関わってくるのです。
ちなみに牛の腎臓さんはコチラ↓↓

関わってくるのは「エリスロポエチン」というホルモン。腎臓から分泌されたこのホルモンの作用がないと、正常な機能をもった赤血球はつくられません。

立派なおとなになり、血管中に出た赤血球はしばらく体中を巡り、自分の仕事を一生懸命こなします。せっせせっせと働きます。一生懸命働いて、働いて…。機能が衰えてきた赤血球さん。そんな赤血球は「脾臓」や「肝臓」で白血球の一種である「マクロファージ」という細胞に捕まえられます。働き続け、疲れてしまった赤血球は逃れられず、捕獲され破壊されます。こうして働き者の赤血球さんはその一生を終えるのです。ちなみに壊れた赤血球からは「ヘモグロビン」という物質が出ていきます。このヘモグロビンが分解されて生まれた「ヘム」という物質は分解されて「ビリルビン」になり、胆のうに蓄えられます。これまで血管内にいたこうした物質は、この後、胆汁として腸管内に分泌されていきます。

ビリルビンは腸管内の細菌によってさらに分解を受け、「ステルコビリン」となり、排泄されます。

そう!
うんちのあの色はこのステルコビリンなのです♪
うんちの色のもとは赤血球色素だったのですねぇ。

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