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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−52 「削蹄編(9)

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2009年9月4日

 最後に、削蹄しない農家さんのお話をひとつ。肥育期間中まったく削蹄を行わない農家さんもいます。しかもそこは肥育期間が24ヶ月と比較的長い農家さんです。出荷前の牛を見てみると、決して短くはないですが、魔女の靴のような伸び過ぎや変形蹄の牛はあまりいません。この農家さんの特徴は2つです。ひとつは、牛床が煎餅布団のように乾燥し固く管理されている点。もう一つは、ルーメンコントロールが上手なところです。即ち、牛群を見ながら餌をコントロールし、下痢などをあまりさせない飼い方です。こういう篤農家さんでは蹄の伸びが緩やかで変形蹄が少ないです。この農家さんに話を聞くと、削蹄をした方が良いとは思うが、削蹄時の事故や労力を考えると削蹄しない方が良いという結論に達したとのことでした。もしかしたら日本全国にも、削蹄しない優秀な肥育農家さんがたくさんいらっしゃるのかもしれません。そういう農家さんは、特にルーメンコントロールが上手な農家さんだと思います。自分家の肥育牛の蹄にあった削蹄を行なってくださいね。
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