(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
中国牧場奮闘記 その10

コラム一覧に戻る

2015年5月12日

 前回お話ししたとおり、市場(バザール)ではとてもではありませんが、子牛の頭数が集まりません。というか、相対なのでとても効率が悪い。そこでやってきました「山東省国家種畜センター(写真1)」。
 魯西黄牛原種場ともいうだけあって、種牛も何頭もいました。しかしここでもケチがつきます。

 はじめにセンター長が、自分のセンターの自慢を長々としました。この牧場には、30代系統をさかのぼれる母牛が3,000頭いるとか(これはおそらく、僕が会議のはじめに「日本の但馬牛は30代くらい系統をさかのぼれるんですよ」という話をしたからだと思いますが(笑))。
 まあ、こちらも子牛を分けていただきたく、また日本人独特の愛想の良さを山ほど持ち合わせていますから、とりあえず一通りお話しが終わった後で、いろいろと質問しました。以下がその時のやりとりです。

 僕「母牛の台帳を見せていただけませんか」
 センター長「いや台帳はコンピューターに入っているから髪の台帳はない。」
 僕「じゃあ、パソコンの画面でいいので見せていただけませんか?」
 センター長「いまパソコンはちょっと具合が悪い。」
 僕「僕はパソコンの修理も得意ですから見てあげますよ。」

 いや、このあたりから鈍い僕でも「なんか怪しい」という気になっていたのですが、クライアントが厳しく「見せなさい!」というと、ようやく「本当は母牛は30頭くらいしかいない(写真2)」「どの子牛がどの母牛の子牛か解らない」「生年月日が解らない」

 はぁ????
さすがに僕も怒って外に出てしまいました。まあ、かわいい嘘と言えばかわいい嘘なんですが...。

 結局、子牛の導入は「口蹄疫の出ていない山東省内の農場を回って集める。」、「導入牛は、90km離れた導入牧場に入れて3ヶ月腹作り兼、疾病検疫をする。」「子牛はまだ推定8~9ヶ月齢のものを選ぶ。」「体型は、魯西黄牛タイプの尾の下がったものにする。」ということにして、ジャンさんというこちらの場長と何件か農場を回って牛の見方をキャリブレーションして、導入牛を集めることにしました。

続く


写真1


写真2

|