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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−42 「まごころを食べさせよう」」

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2009年6月19日

 1回給餌の注意点のところで餌の掃き寄せの話が出て来たので、「まごころ」のお話をひとつ。ある日私が、ちょうど午後1時くらいにある農場に診療に行った時のことです。たぶん休憩中だろうなと思いながら牛舎に行ってみると、農家さんがいらっしゃいました。見たところ、何か餌を給与しているように見えたので尋ねてみると、その農家さんは「まごころを食べさせている」と笑っていました。それは餌の掃き寄せのことでした。
 飼槽の中のゴミなどを取り除き、きれいに餌を掃き寄せ、飼料の山を作ることで、確実に飼料摂取量は上がると思います。優秀な農家さんでは、1日5回くらい餌の掃き寄せを行います。ただ単純に朝夕2回餌を給与して終わる農家さんと、1日何回も餌を掃き寄せて牛に餌を食わせ込める農家さん、どちらが良い牛を創るのか、一目瞭然です。昨今、肥育農家さんは、飼料の高騰、枝肉単価の低迷と厳しい時期です。しかし何の経費もかけずに、牛の成績を上げる簡単な方法があるとしたら、それは自分の努力かもしれませんね。
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