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第78話:風邪の予防について考えてみる⑨ |
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2015年4月17日
生ワクチン・不活化ワクチンの話の続きです。生ワクチンと不活化ワクチンでウイルスや細菌の状態が違っているのですが、そのことにより少し接種後の免疫反応が違ってきます。
ではまず生ワクチンから。生ワクチンは牛さんの体内で増殖するため、少量で効果を発揮します。また、効果持続が長いのが特長です。そして、不活化ワクチンとの一番の違いともいえるのが、液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導することができるということです。・・・液性免疫と細胞性免疫と言ってもなかなか耳にする機会はないと思うので簡単に解説。
液性免疫はまず監視役の細胞が病原体を認識すると「敵がやってきた!」と信号を出します。それを受けとった別の細胞が抗体(敵と戦う兵隊みたいなもの)を産生します。その抗体が直接病原体と戦うのです。しかしその抗体は病原体が牛さんの細胞内に逃げ込んでしまった場合は細胞の中まで攻め込んでいけないという弱点があります。そこで重要となるのが細胞性免疫です。細胞性免疫ではキラーT細胞という強力な細胞が、病原体が入り混んだ細胞を直接破壊してくれるのです。
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