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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−30 「飼料の変更(1)」」

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2009年3月27日

 肥育期間を通して同じ餌を与える(1本飼料)場合は良いのですが、前期・中期・後期あるいは中期・後期など肥育ステージに応じて飼料を分ける場合、肥育中期に入る前にまず飼料の変更を行うことになります。この飼料変更もやり方次第では、大きなストレス要因となり得ます…。
 ある農家さんでは、中期飼料を半年間給与後、後期飼料へ切り替えを行っていますが、作業効率の点からこの飼料変更を1日で行います。ここの牛たちは半年間、中期飼料をずっと食べており、少し飽きもあるのか?飼料変更後、後期飼料をものすごい量食べます。畜主曰く、与えただけ食べるような感じだそうです。そのため給与量を間違えると過食になってしまい、下痢などが多発してきます。また逆に、口に合わないのか2〜3日の間、後期飼料を全く食べない牛もおり、その後、少しずつ食べるようになります。
 飼料を変更することによりルーメン内の細菌叢が変化しますが、正常な細菌叢に戻るのに通常3〜4週間かかると言われています。この変更を急激に行うとルーメン内の変化も急激に変わり、これが下痢の多発する要因となる場合があります。また、目に見える変化はなくても、いつも食べていたものと違うものが与えられるというのは、牛たちにとって少なからずストレスとなると思われます。よって、できるだけ牛たち(特にルーメン!)への負担が少ないように飼料変更をする必要があるのです。
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