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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−29 「飼料給与マニュアル(4)」」

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2009年3月13日

 肥育の増飼が上手く行われているかどうか判断する方法ですが、私は農場に初めて行った時に着目しているポイントとして、蹄(ツメ)と角の伸び方を必ずチェックするようにしています。これは蹄と角の伸び方が、ルーメンのコンディションを表していると考えているからです。濃厚飼料の増飼がうまくいってない農場では、ルーメンアシドーシス傾向になってしまいます。そうすると、ルーメン内で、ヒスタミンやエンドトキシンなどが産生され、これが血行性に蹄真皮に出血、炎症をおこすことで蹄の伸びが早くなります。重症例では、蹄葉炎(ロボット病、つっぱり病)になってしまいます。つっぱり病にならなくても、牛群全体において蹄の伸びが早い場合は、濃厚飼料の増飼がきつ過ぎると判断します。そういう農場では、牛の増体および肉質はあまり良くないような気がします。角も蹄と同じ成分で作られていますので同じ理由で、伸びが早くなるような気がする。
 ここで、蹄の伸びはなんとなく分かる気がしますが、角の伸び方の見方は少し難しいですよね。先ず雄(去勢)の方が、雌より角が長いですし、年齢を重ねるほど角は伸びていきます。だから私は単純にイメージで判断します。パッと見て、肥育牛として「かっこ良い」と思ったら、角の伸びは正常であると判断し、角だけ長くて「なんかしっくり来ない、かっこ悪いな」、と感じたら伸び過ぎだと考えます。これは個体差もあると思いますので、牛群全体で判断します。ちょっと主観的過ぎるかもしれませんが、参考にしてみて下さい。
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