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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−31 「飼料の変更(2)」」

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2009年4月3日

 多くの農家さんは、飼料の変更には慎重であり、概ね2週間〜1ヶ月かけてゆっくりと変更して行く方が多いようです。農家さんによっては、3ヶ月かけて変更するところもあります。こうすることで、下痢などの症状を示すことなく飼料変更が出来ます。ビール粕などを前期飼料に使用している農家さんは特に注意が必要です。いきなりビール粕をゼロにしてしまうとルーメンへの影響が大きいようなので、時間を掛けて少しずつ給与量を減らしていくやり方をお勧めします。
 一方、前回お話したような、わずか1日で飼料変更するやり方にも方法があり、変更日には給与量を減らします。例えば中期飼料をそれまで10kg給与していた場合は、後期飼料を5kgくらいに減らして給与し、少しずつ増飼していくそうです。まだ食べるからといってたくさん与え過ぎると、下痢が多発したり、その後まったく食べない牛も出てくるのだそうです。また飼料変更日から1週間は、ラボジェネターさんの「アースジェネター」などの生菌剤や、最近では、バイオ科学さんの「大食肝」を給与することでストレスを軽減させ、良い感触を得ているとのことです。
 前回もお話したとおり、下痢などの症状を示さなくてもルーメン内のミクロフローラの変化は確実に起こっています。よって良質の粗飼料や生菌剤を使用するなど、ルーメンの健全化に注意を払ってください。これから中期にむけて大事な時期です。せっかく前期の腹づくりに成功しても、飼料変更により人為的にストレスを与えてはいけません。肥育で大事なことは、何と言ってもストレスの軽減ですから。
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