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松本大策のコラム
割り込みコラム:肉用牛にはあんまり関係ないかな?血乳症のお話し

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2015年3月16日

 中国のお話しを続けてきましたが、ここのところ何件か相談が来ているので、もしかしたら密かに悩んでいる方がいらっしゃるのでは?ということで、今回は割り込みで、繁殖母牛や乳牛で発生する「血乳症」の止め方のお話しです。

 血乳症というのは、読んで字のごとく母乳に血液が混入してしまうもので、その原因は乳房炎や外傷的なものを除くと、生理的血乳と言われるタイプです。
 これは、分娩後に急激に母乳の生産を行うために、乳腺に大量の血液が流れるため、乳腺の毛細血管が破綻(破れちゃうんですね)するためだと言われています。

 獣医学的には、出血にはトラネキサム酸という止血剤を使用するのですが、これが情けないほど効果がないケースが多いのです。
 最近ではプロスタグランジンの投与などの方法も試されていますが、僕は以前からやっている方法で、ほとんどの症例がピタッと血乳が治まると、知り合いの獣医さんや酪農家さんから喜ばれている方法があるので、お知らせしておこうと思います(いや、そんなの知ってる!って方は読み飛ばして下さいね)。

 やり方は簡単。ゼノビタンやフォルテなどのビタミン剤(ビタミンA)を1,000万単位、注射で言うと20ml筋注するだけです。これだけで止まることが多いのでぜひお試し下さい。

 なぜ止まるの?というお話しは、とても難しくなるのでまたの機会に。

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