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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−25 「ルーメンアシドーシスの治療(3)」」

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2009年2月13日

 補液療法およびルーメンの正常化の治療を行うと、1日で良くなる牛がほとんどですが、本当に重症な個体については、何日間も行います。治癒の判断は、脱水の程度と食欲により判断します。食欲といっても、一度急性のルーメンアシドーシスに陥った個体は、濃厚飼料を与えても食べようとせず、乾草や稲わらしか食べません。また脱水や便性状が改善したとしても、こういう個体ではルーメン内の拍水音は1週間以上続きます。例え拍水音は治ったとしても、ルーメン内の細菌叢が正常化するのには2週間以上かかると言われています。よって健胃剤や生菌剤の投与は持続したほうが良いようです。また患畜が濃厚飼料を食べだしたとしても、同じように急性のルーメンアシドーシスを起こす事はほとんどありません。多分ルーメンの方が慣れてくるというのと、牛が多分少し加減して食べるのだと思います。この増飼による急性のアシドーシスが出る農家さんは、給与失技および盗食以外は大体同じ農家さんで発症します。要するにそういう肥育方法なのです。急性のアシドーシスを発症したとしても、治療により治るかもしれません。しかし死亡のリスクおよび重症の場合は、前にもお話したようにルーメンや色んな臓器がダメージを受けてしまいます。よってフスマやビール粕、発酵バガスなどを混たり、増飼の量を調節し、なるべくこのような事態に陥らないように気をつけましょう。
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